鰻対決!関西VS関東

夏の季節になると土用の丑に鰻に舌鼓を打つ方は多いんではないでしょうか。
一般的に食欲がなくなってくるこの時期に鰻が「夏バテ防止」「土用に丑に鰻を食べると健康になる」などもてはやされるのは昔から特別扱いに値する美味食品だとの認識なんでしょうね。
近年、鰻が高騰し一般庶民の食べ物から少しかけ離れてきましたが、この時期だけは外せません。
鰻の本当に美味しい時期は1月ごろなんですが、なぜかその寒い時期には
あまり食べたいとは思いません。夏のものと思い込んでいるせいかとも思いますが、いや、生理的にそういう気分にならないんですね。。不思議ですね。。

鰻と一言に言っても国産では天然物、養殖物とありますが
天然物で有名なのは「四万十川」の鰻ですね。
天然物は養殖より脂分が少なくしまった身をしています。
味も天然の餌を食べているので濃いです。鮎もそうですね。天然のコケを食べて育った鮎も格別です。
見かけは天然鰻はお腹の部分が黄色味がかっています。

天然うなぎ

ただ、天然でも60cmを越えると脂がのってきて料理屋でも取り合いになります。
喜川で修行時代、直径30cmくらいのその川の主かとも思う
鰻が入りました。ぬるぬるもして掴みづらい上に力が強く、包丁を入れようものなら腕に巻きつき強い力で締め付けられます。4人がかりでやっと捌くことができました。
焼き網に乗せて焼くと脂が多く滴りおちるのでガス器具が燃え、火事のようになりました。
味の方ですか?まだ修行に身で口に入ることはなかったのですが大味だったのではないでしょうか。
魚でもなんでも、一番美味しい大きさってありますから。。

日本料理で焼き海苔に魚のすり身を入れた豆腐を塗りタレで焼いた料理があります。簡単にいうとニセのうなぎの蒲焼です。これは精進料理に流れから来たものです。
正直、味も見た目も似てなくて非なるものです(笑)

さて、いよいよ対決といきますか。

関西と関東の調理法の違いは
【関西は腹開き、関東は背開き】
これは関東が武家文化で腹開きは「切腹」をイメージするから縁起が悪いのと、関東は職人が少なかったので背開きの方が調理がし易かったそうです。また、お腹に脂が乗っているのでその脂を逃さないようにしたという話もあります。
関西が腹開きなのは、武家文化と違うからだけでなく、商人文化らしく「腹を割って話す」という意味で好まれたという話がありますが、所詮商売は駆け引きですので腹を割って話すということはなかったかもしれません。

関東風背開き
関西風腹開き


【関西は直焼き、関東は蒸してから焼く】
関西は直に焼き、その後ご飯の中に入れて蒸す「鰻まむし」という食べ方がありました。鰻とご飯を混ぜる→まぶす→
まむし、となったんですね。
食べた感想は、外はパリッと中はふんわり、脂もしっかり。

関西焼き



関東は人口が多く、せっかちな江戸っ子気質で単身者が多かったことで、元から蒸して火を通しておき、注文がきてからタレでさっと焼くようになりました。これなら早く出せるということです。
食べた感想は、脂が落ちてあっさり、身はふんわり。

関東焼き

ここからは私の主観ですが、関西の食べ方に慣れているので、関東は蒸して焼く?なにそれ?せっかくの脂が勿体無い!と思っていましたが、実際に食べると正直「負けた・・」と思うほど美味しく、今では関東の蒸してから焼く鰻のファンになりました。歳のせいもあるんでしょうね。

ここでは関西と関東という言い方をしましたが、関西風の焼き方は静岡県の浜松にまで及んでいます。浜松は関西風と関東風が混在しているので、食べ比べをするにはここで食べると良いでしょうね。

結果、私の軍配は「関東風焼き方」です。

私のお気に入りの店は群馬県館林市にある「町田」という鰻屋さんです。一見なんの変哲もないお店ですがとんでもない!鰻の蒸し加減といい、焼き加減といい、タレの甘さ加減も文句なしです。行くといつも5匹くらい買って帰ります。
焼きたてが一番美味しいです!

ここでは紹介できませんでしたが、福岡県の柳川の「鰻のせいろ蒸し」も違った調理法で、タレを混ぜたご飯とタレで焼いた鰻に錦糸卵をのせてから全体が馴染むようにせいろで蒸します。いわば関西と関東の良いところ取りですね!


あなたはどっちですか?



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