鰻の蒲焼

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もうすぐ土用の丑の日(7月25日・8月6日)ですね。夏バテ防止に栄養価の高い鰻を食べる風習は諸説ありますが、平賀源内が発案したとされています。食欲が減退すること時期に、鰻を食べると元気になるような気になりますよね。鰻=夏のイメージがありますが鰻の一番美味しい時期は秋から初冬にかけてです。しかし最近は乱獲と気候の変動による稚魚の減少によって、価格が上がり庶民の食べ物ではなくなりました。稚魚からの完全養殖の技術は日本で開発されていますが、コストがかかりすぎて鰻の価格を下げるにまでは至っていません。その日が来るのが待ち遠しいです。

「鰻の蒲焼」の蒲とは蒲の穂を指しています。江戸時代は鰻をぶつ切りにして串に刺している焼くのが主流でその姿が蒲の穂に似ていることからそう呼ばれることになりました。ぶつ切りなんて今では考えられません(笑)鰻の蒲焼ですが、調理法には「江戸前風」と「関西法」があります。簡単に言うと江戸前風は鰻の背中から包丁を入れて開き、焼く時に白焼きをした後に一度蒸し、そこからタレをつけて焼きます。関西法は鰻の腹から包丁を入れて開き、タレをつけて焼きます。おろし方の違いは江戸は侍文化で腹から包丁を入れるのは「切腹」を連想させるからと言われています。どこの土地から江戸前風と関西風が別れているかと言いますと白黒のようにはっきりとはしていません。名古屋の蓬莱軒のひつまぶしは有名ですが、ここは関西風です。まずご飯と鰻を別々に食べて、それからまぶして食べて最後に出汁をかけて山葵と焼き海苔でいただきます。ちなみに大阪ではまぶすことを「まむし」と言います。初めて「鰻まむし」と言う言葉を聞いた時は良からぬ物を想像しました(わかりますよね?)そして名古屋からもっと東京よりの静岡の浜松は鰻の養殖で有名です。ここは背開きの直焼きです。(関西以南、関東以北は省略します)

味の違いは蒸し焼きの江戸前風は、余分な脂が落ちてふんわり柔らかな食感です。一方直焼きの関西風はこってりしていて皮がパリッとしています。どちらがいいかは好みなんですが、僕は数年前に江戸前風を初めて口にしました。その時口に入れた瞬間に「負けた」と思いました。身は箸で持てないくらい柔らかで余分な脂も落ちて脂臭さ?も全くなくペロリと一匹食べれるようなあっさり感がありました。やはり一手間かけてるだけあるなと感じました。それからうちの家は鰻は江戸前風です。僕は料理人ですが何でも出来るわけはありません。「餅は餅屋」鰻は鰻屋です。いつも嫁の実家に行った時は館林の「町田」で鰻を買って帰ります。僕が初めて食べて江戸前の鰻の蒲焼はここ町田です。また東京で買う鰻の半分くらいで買えます。調理場を覗くと蒸し器と炭焼き場、まな板があるだけでシンプルな調理場でしたが、この鰻の焼き方は真似ができません。

僕はなにわ料理を学んできましたが、関西が関東に負けていると思う(あくまでも僕の主観ですが)のは、「寿司」「天ぷら」「鰻の蒲焼」です。皆さんも機会があればその違いを食べ比べてみてください。

初鰹の叩き

IMG_0106「初鰹は嫁、子どもを質に入れてでも喰え」                      ひどい話ですが、これは江戸時代にはそれほど重宝されていました。初競りの鰹は「お祝儀相場」といって値がびっくりするほど高いですが、そこは江戸っ子。少し待てば値段が下がるのですがそれでは粋ではなかったんですね。ちなみに当時の値段で1両(約13万円)しました。また「初物を食べると長生きする」とも言われていました。それほど満足していたんですね。

鰹の旬は年に2回あり「初鰹」は春から初夏にかけて黒潮にのって北上する鰹のことです。この時期の鰹は脂は少なく身の引き締まった鰹です。夏向きにさっぱりといただけます。秋口にかけて水温の低下に伴って三陸の方から下に降りてくるのが「戻り鰹」といいます。こちらの鰹は脂がのっていてマグロの中トロのような鰹です。純粋に鰹の身の旨さを味わうなら初鰹、脂ののった旨さを味わうなら戻り鰹ですかね。オススメの食べ方は「塩叩き」と「叩きぽん酢」です。

「塩叩き」                                     5枚おろしした鰹(背側2枚、腹側2枚、骨1枚で5枚)に塩を振り常温で2時間寝かせます。次に叩きにし、ニンニクのスライス、ねぎをのせてすだちを絞っていただきます。

「叩きぽん酢」                                   鰹は醤油と酢との相性も抜群です。特に鰹節、昆布の効いたぽん酢は相乗効果によって旨味が何倍にも増します。ここにもニンニクのスライス、ねぎは欠かせません。ぽん酢を含ませるため大根おろしものせて下さい。

「叩き」                                     「叩き」の語源は薬味をのせて叩く、タレをつけて叩くなど諸説は多岐に渡ります。扇子の骨のように扇状に金串を刺します。その時くしの先は焼けないように出しません。出すと抜く時に焼けたところが身の中を通って身も焼けてしまいます。一般にはガス火で表面を焼きますが、美味しいのはやはり藁で焼くのが一番です。藁は火をつけるとすぐにバアっと燃え高温になり鰹の表面だけを焼くにはもってこいです。そしてその時に出る煙が良い香りを付けてくれます。元々鰹の表面を焼き、燻すのは寄生虫対策だったといいますが今の鰹ではほとんど見かけませんのでご安心を。私は脂の少ない初鰹は焼いてすぐに氷水につけて冷やし冷蔵庫に入れていただきます。脂ののった戻り鰹は焼いて水で濡らしたタオルで少し冷やしただけでまだ少し温かいうちにいただきます。この方が焼いた皮、身の旨味、溶け出した脂の旨味がすごくよくわかります。

今晩の2種類の鰹は一つは「叩きぽん酢」です。もう一つはアジアン風です。アジアン風はぽん酢の代わりにニョクマムとレモン汁、砕いたナッツにニンニクスライス、香菜をのせています。

さて、明日は何を食しましょうか。。

 

朝堀筍のお造り

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前回は筍の根の方を使い「ステーキ」にしました。今回は穂先を使い「お造りにしました。といっても昆布だしで炊いただけです(笑)朝堀筍の穂先は柔らか〜くて、あま〜い。調味料は1週間醤油漬けにした卵の黄身を潰した「黄身醤油」に擦りたての山葵をつけていただきました。生うにを潰して醤油を混ぜた「ウニ醤油」もいいですね!練りゴマを醤油に解いた「ゴマ醤油」どちらも淡白な筍に実によく合います。色々試してくださいね。

付け合わせは「ワラビ」です。ワラビのアク抜きは一昔前の料理の世界では「藁の灰」を使用していました。最近では重曹を使用しています。しかし家庭では置いていない家庭もありますし、なんせ時間がかかりました。以前にも書きましたが、忘れてしまった方に小麦粉を使った簡単なアク抜きをご紹介しましよう。小麦粉の成分にアクが吸着されエグ味が取れます。水1Lに塩小さじ2杯、小麦粉を大さじ4杯かき混ぜて火にかけます。沸騰したらワラビを入れ弱火で3分煮ます。鍋から取り出し冷水に入れて10分以上冷まします。これで出来上がり!簡単でしょ?このやり方は筍にも有効です。筍の場合は皮を全部むき、適当な大きさに切ってから行います。煮る時間は10分にしてくださいね。