発酵食品は日本の文化

日本の食文化が発酵の文化と言っても過言ではありません。
味噌、醤油、日本酒、みりん、酢、魚醤・・・。
食品の中にも納豆、慣れずし、くさや、塩辛、ぬか漬、奈良漬・・
鰹節も発酵食品です。
昔は科学的根拠なんてものはありませんから
ほとんどの発酵食品は偶然から生まれています。
その中で2例ほどあげてみます。

〈納豆〉
納豆はご存知の通り、大豆を煮て藁に包んで
藁に付いている納豆菌で発酵させて作ります。
なぜ煮た大豆が藁についたのかは諸説ありますが
偶然の産物には違いないようです。
(諸説)
①弥生時代に藁の上に落とした煮豆が発酵した。
②平安時代、源義家が馬の食料として煮た大豆を干して
 藁の俵に入れて運んでいたのが、たまたま干さずに
 入れてしまい発酵した。
③ヒマラヤ地方でも大豆を発酵させた食べ物があることから
 伝来した。
一番有力なのは②のようで、納豆の本場の茨城県でも
そう言い伝えられています。
その後、明治時代に入ってから「納豆菌」が発見されています。

〈くさや〉
関西の方はあまりご存知ないかもしれませんが、
伊豆大島の名産で、主にむろあじやとびうおの干し魚です。
初めて匂いを嗅いだときは💩!と思うほど強烈な
匂いで口に入れても噛むことが出来ませんでした。
(あくまでも私の印象です)
焼いている時の匂いも強烈で、街の中で焼くと
今の時代、異臭騒ぎで警察が来るかもしれません
(やった事ないですが、それほどの印象でした)
しかし、好きな人にはやめられないほどのくせになる
味なんです。
伊豆大島も海に囲まれた島ですので、昔から漁業が
盛んで干し魚や塩を作り生計を立てていました。
江戸時代、米が島で穫れないことで年貢として
「塩」を納めていました。
あまりの年貢が厳しかったため、島民は自分たちで
塩を使うことができず、海水で獲った魚に塩分を
浸けて干していました。長年漬け汁に海水を足して足して
を繰り返すうちに、魚の内臓が混じり、あの強烈な
匂いの漬け汁になりました。
昔から地元の漁師の間では、手に怪我をしてても
魚をこの漬け汁に浸けていると傷が早く治ると
いうことを経験上知っていました。
その後科学的に調べると、この漬け汁の中には
十数種類の微生物が生きており、その中に抗生物質
を作る微生物がいて、傷を早く治すということが
科学的に解りました。
またこの漬け汁の中では食中毒菌は生きていけず
干してからもその効果は持続し数日は腐敗菌が
繁殖しないことから
普通に魚を干すより2倍日持ちがすることが解りました。
その他、味噌・醤油・酢・みりんなどの調味料は
日本独特の文化ではなく大陸より伝来されました。
ふなずしのような飯漬けも大陸からの文化です。
ふなずしは日本ではお寿司の原型で、飯の乳酸発酵
から「酢」を使うようになりました。

人間にとって不可欠な菌もいれば、食中毒菌のような都合の悪い菌もいます。
それぞれの特性を知って上手に付き合っていかなければ
なりません。
ついでに言っておきますと、最近は「減塩」食品が
多くあります。
食品に塩分が多ければ保存がききますが、
減塩食品は保存期間は短く、購入後はすぐに冷蔵庫に入れましょう!

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