日本版ロシアンルーレット(食べ物版)

あなたは日本版ロシアンルーレット といえば何を思い浮かべますか?
今ではそのようなことは無くなりましたが、昔は「フグを食べる」ということは
同じようなことでした。日本では鉄砲(下手な鉄砲も数うちゃ当たる!)と言われており、テッサ、てっちりの名前は
そこからきています。
フグを食べる文化は平安時代に遡ります。
天然のフグは全部に毒を持っているのではなく、食物連鎖で約7割が
毒を持っています。

豊臣政権にはフグを食べて死ぬ武士が相次いだので秀吉が禁止令を出したほどです。その禁止令は徳川政権になっても引き継がれました。
しかし、引き継がれたのは武士階級だけで、江戸庶民は密かに食べていたそうです。
一回食べて毒には当たらず、その美味しさに魅了された人は2回目も食べちゃうんでしょうね。そして食べたことのない人にどれだけ美味しいかを説き誘うんでしょうね。そして誘われたら行っちゃうんでしょうね。
でも、江戸っ子といえど、絶対に新婚の夫には食べささなかったようで、
新婚の嫁さんが悲しむからだそうです。(新婚じゃなかったらいいのか・・。)
今では毒がどこにあるかがわかっているので、きちんとした免許を持っている調理人調理すれば当たるようなことはありませんが、たまに肝が美味しいと言って食べて亡くなることは最近までありました。
禁止されると余計にしたくなる心理なんでしょうか。。

フグの毒はテトロドトキシンといって、神経と筋肉に作用して身体の麻痺を起こします。
熱に強く、酸にも強いため、普通の調理ぐらいでは分解されません。水さらししても無毒化することは出来ません。毒の量にもよりますが、食べて20分から3時間ほどで発症します。
最初は、唇や舌、指などのしびれから始まり、手足が動かなくなってきて、頭痛が起こります(おう吐する場合もあります)。
次第に感覚が麻痺してきて、皮膚感覚、味覚、聴覚などが鈍くなり、運動麻痺が起こり、倒れてしまいます。
さらに進行すると、全身の筋肉がだらんとなって指も動かせなくなり、言語障害が起こります。
最終的には呼吸中枢が麻痺し、血圧低下、呼吸困難となってチアノーゼを起こし、呼吸が停止し死に至ります。

「この舌のしびれる感じがいい」なんて全くの嘘です。
舌が痺れるだけで済む毒の量なんて分かるはずがありません。

また昔は毒にあたったら土に埋めろとか、ナスのヘタを食べろとか言われていましたが、全くの迷信です。土に埋めるのは、中毒症状を起こしますと血圧の低下が起こることから抹消部分を圧迫させて血圧の降下を防ごうとしたものだと思われます。また、体を冷却する目的でもあったようですが全く効果はありません。

そこまで昔から河豚は日本人の舌を魅了したというのは本当のようですね。

今では食物連鎖で毒を作らない河豚も出てきているので、どうしても昔食べた肝の味が忘れられない人は、そっちのフグの肝でしたら安心して食べれます。
とは言うものの、そう言う人に限って「やっぱり毒のある肝の方が美味しかった」と言うんですよ。どうぞ自己責任でご勝手に!(やはりダメです!)

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