新鮮な魚=美味しい?

お造りの魚の新鮮さを売りにしているお店ってありますよね。
産地直送や朝荷揚げしたものなど、
今流通が発達していくらでも手に入るようになりました。
では新鮮なら新鮮なほどお魚は美味しいんでしょうか?
実は美味しいお造りには訳があります。

・旬の魚である事
・きちんと活けじめしている事
・しめてからある程度時間が経っている事
・鮪など冷凍の魚の解凍の仕方
どうです?みなさん。
美味しいお刺身には味があります。
ではその訳を説明していきたいと思います。

[旬の魚である事]

季節季節ごとの美味しいものには旬というものがあります。
旬の魚とは餌をたくさん摂り、あるいは日光を浴び栄養をしっかりと蓄えその食材が最も美味しくなった状態です。
旬とは上旬・中旬・下旬と10日ごとに区切られていて、約1ヶ月です。
よく獲れる時期が「旬」とされる方もおられますが、
とく獲れる時期と美味しい時期が必ずとも美味しい時期とは限りません。
例に挙げると、春の真鯛などは「桜鯛」と呼ばれ重宝されていますが、
実は産卵で内海へ回遊して多獲されます。
産卵に栄養が取られ、肉質はよくありません。
真鯛は脂がのって美味しい秋から冬にかけてが旬です。
あれ?さっき1ヶ月と言っていたのでは?
日本には「季節」があります。取れる場所によって気候が違うからなんです。

[きちんとしめている事]

「釣った魚をしめる」これは、グロテクスですが「殺す」という事です。
野じめとは生きたまま氷に入れて、死ぬのを待つやり方です。
活けじめとは頸椎を断裂させて即死させる事です。
新鮮なお刺身を食べた時に、コリコリして美味しいと思ったことはありませんか?これは活けじめしているからなんです。
野じめの場合、ゆっくり死ぬのを待つので死んだ後は身が緩んでいて
柔らかくなっています。
活けじめの場合は即死させた後、頸椎の神経を抜くので、身に死んだという情報が伝わらないので、しばらくはコリコリの状態が続きます。
上手な人が行えば、死んでから2日くらいはコリコリとした状態が続く
事もあります。
「じゃあ、殺してすぐに食べたら?」
コリコリに関しては仰るとうりです。しかしそこには次のもう一つの訳に関わってきます。

[しめてからある程度時間が経っている事]

一番驚かれたのではないでしょうか?魚をさばいてすぐ食べるのは、
これ以上のない新鮮さですが、美味しいに
必要な「旨味」が出ていないんです。
旨味を出すには、タンパク質がある程度分解しなければ出てきません。
旨味成分はみなさんがよくご存知の「イノシン酸」と「グルタミン酸」です。
タンパク質が分解され、最大に出るのは魚にもよりますが、コリコリ状態
が解けてから約10時間後です。
ですので、本当に味が美味しいのは、コリコリして歯ごたえがあって美味しいと思っているその後です。
しかし、美味しさというのは味だけではありません。歯ごたえや見た目も
美味しさの一つです。
味として旨いのはコリコリがなくなって10時間後。
トータルで美味しいのはコリコリがなくなる直前ということになります。

[鮪など冷凍の魚の解凍の仕方]

冷凍の魚は解凍の仕方によって美味しさが変わってきます。
そのまま室温に置いておけば魚の細胞が壊れドリップ(旨味汁)が
出てしまい美味しくなくなります。解凍の仕方は何種類かありますが
また次に機会にご紹介いたします。

新鮮さと美味しさはイコールではないということです。
理屈云々よりも「美味しい」と思って食べるのが何より一番大切です。

スポンサーリンク